ファクタリングがもたらす効果とは?手形割引との違いを理解しよう

手形割引に変わる資金調達手段として、徐々に認知度が高まっているファクタリング。融資が難しい企業にとっては非常にメリットが多く、政府が率先して利用促進に動いている事も見逃せません。ここでは、ファクタリングがもたらす効果や手形割引との違いなどについてご紹介しています。

ファクタリングとは

ファクタリングは企業の資金調達手段の一つです。利用出来るのは法人が中心ですが、一部には個人事業主も可とするファクタリング事業者も存在しています。まだ未回収となっている売掛債権を事業者に買い取ってもらうサービスであるファクタリングは、償還請求権無しで資金調達を行えるのが特徴です。制度としては旧来より利用されてきた手形割引に変わるサービスとして注目を集めており、中小企業庁が実施している売掛債権担保融資保証制度などから政府としても積極的に普及させようとしている事が伺えます。

「中小企業庁 売掛債権担保融資保証制度」 http://www.chusho.meti.go.jp/kinyu/urikake_index.htm

・手形割引の推移について

ファクタリングという名称をよく聞くようになったのは近年になってからだと思いますが、実際に国内に導入されたのは1970年代初頭です。当初はごく一部の大手金融機関でのみしか取り扱っておらず、手形割引との差別化が出来ていなかった事などを理由に普及のスピードは非常に遅いものでした。しかし、日本の手形取引はバブル崩壊やサブプライム問題等の信用不安をきっかけとして徐々に減少してきたのです。また、これを機に銀行もローンの条件を厳しくするようになり、融資を受けたくても受けられない企業が増加しました。このような条件が重なった事もあり、今まで活用されてこなかった売掛債権を売却する事で資金調達を行うファクタリングの需要が急激に高まったのは間違いありません。

・ファクタリングの種類

ファクタリングは取引を行う企業の数によって、大きく2社間と3社間の2つに分ける事が出来ます。2社間ファクタリングの場合、取引をするのは債権者とファクタリング事業者だけとなります。2社間での取引は手形割引と同じですが、債務者(取引先)を交えないという点で大きな違いがあるでしょう。3社間ファクタリングの場合は債権者とファクタリング事業者に債務者(取引先)が加わります。審査スピードや手数料などにそれぞれ違いがありますので、実際にファクタリングを行う際は自社に合った方法を選ぶ必要性があると言えます。

融資・手形割引との違いは

上記のように、ファクタリングは手形割引に変わる新たな資金調達手段として普及してきた側面があります。しかし「売掛債権を使用した資金調達」という点については分かっているが、手形割引との違いがいまいち理解出来ないという方は以外といらっしゃるのではないでしょうか。現金化のスピードが早い事ももちろんメリットとなりますが、ここでは細かな特徴や違いを少しご紹介しましょう。

・割引が出来る

手形割引を使用して資金調達を行う場合、手形のすべてを現金化する必要性があります。一方のファクタリングは売掛債権の一部だけを現金化する事も可能であり、比較的自由度が高いのが特徴です。ファクタリングで売掛債権のすべてを現金化する事を「一括割引方式」、一部を現金化する事を「個別割引方式」とも呼びます。

・割引料の決め方が異なる

手形割引の割引料(手数料)は手形の割引日から支払期日までの日数を元にして計算されます。割引料は「手形金額×割引率×(割引日数/365日)=割引料」で求められ、取引先によって異なります。一方のファクタリングは基本的に売掛債権の信用力を元にしており、債務者で割引料が異なるのが特徴的です。例えば、信用力の高い企業や国の期間が取引先であった場合「確実に売掛金が支払われる」と判断され割引料が安くなる可能性があります。この事から、取引先によってはかなり安い割引料(手数料)でファクタリングを利用できる可能性があると言えるでしょう。

・万が一取引先が倒産したら?

手形割引の契約を済ませた後に取引先が倒産してしまった場合、その手形は不渡となり金融機関からの買戻し請求・または証書貸付を利用して買戻し金の補てんを行います。ファクタリングの場合は基本的に買戻しのようなリスクは無く、売掛金を肩代わりするような事もありません。ただし、特約で買戻しなどを定めていた場合は債権者が売掛金の支払いを行う必要が出てきます。また、ファクタリングと似たサービスである「でんさい」も債権の保証を行わなければなりません。ファクタリング事業者・金融機関によっても異なりますので、特約には必ず目を通しておくようにしましょう。

ファクタリングを利用するメリットとは?

ファクタリングと手形割引の違いについて理解出来た所で、次はファクタリングのメリットについて考えてみましょう。一般的に、ファクタリングを利用するメリットは以下のようなものがあります。

・資金調達が比較的容易である

銀行などから融資を受ける場合は多くの書類が必要であり、融資を受けるまでには煩雑な手続きを行わなければなりません。せっかく決算書や登記事項証明書などの書類を準備しても、確実に融資が受けられるかどうか分からないのも悩ましいポイントだと言えます。ファクタリングの場合、経営状態よりも売掛債権や取引先の信頼性が重視されます。融資ではなく買い取りですから、赤字や債務超過の場合でも売掛債権を売却が期待できるのです。近年では「即日買い取り」を謳うファクタリング事業者も多いですから、融資スピードの面でも大きなメリットがあると言えるでしょう。

・担保や保証人は不要、リスクも少ない

消費者金融や事業者ローンの場合、近年は担保や保証人を不要とする融資も多く登場しています。しかし、消費者金融や事業者ローンの場合金額は500万円~1,000万円が中心となっており、それ以上の融資を求めるなら銀行からの借り入れを検討しなければならないでしょう。銀行からの融資は高額ですが、基本的に保証人は必須となっている事が多いものです。また、金額によっては土地などの担保を求めてくる事もありますので、どうしてもリスクが大きくなってしまいます。ファクタリングは売掛債権の買い取りですから、担保や保証人が必要ありません。金額も売掛債権によって決定されますから、場合によっては高額な資金調達も可能なのです。また、特約を付けていた場合などを除き売掛先の倒産によるリスクが無いのも大きなメリットとなっています。

・貸借対照表をスリム化できる

銀行からの融資などの一般的な借り入れを行った場合、貸借対照表上では短期借入金・長期借入金・現預金が増加する事となります。資産と負債が一度に増加するため、総資産とともに貸借対照表上の項目も増えるのです。一方、ファクタリングを利用した場合は売掛金が減少し現預金が増加します。このため、総資産自体には変化を及ぼさず貸借対照表のスリム化にもつながるのです。

ファクタリングは普及していない?

ファクタリングはメリットばかりではなく、当然デメリットもいくつか存在します。例えば、手数料の高さや金額と時期が選べない事などが主要なデメリットです。このようなデメリットを考慮しても融資ではないファクタリングのメリットは非常に多いはずなのですが、日本ではファクタリングの普及スピードはあまり早いとは言えません。これには売掛債権を担保とする事が企業の信頼低下に繋がりやすい事、たいていの企業の取引上の契約で債権譲渡禁止特約が存在している事などが原因として挙げられるでしょう。まだまだ普及し始めたばかりのファクタリングですが、政府が主導して利用促進を行っている事からも分かる通り今後は少しずつ普及していくものと思われます。

【まとめ】ファクタリングは手形割引の代わりになるか?

いかがだったでしょうか。
徐々に認知度が高まっていると言えるファクタリングですが、売掛債権を担保とするサービスに積極的ではない企業はまだまだ多いものです。しかし、ファクタリングはアメリカでは100年以上の歴史を持っており、最早当たり前のように利用されているサービスなのです。今後国内の利用者が更に増加すれば手形割引にとって代わるサービスとして普及するかもしれません。