運転資金は借りられるうちに借りておくべき?運転資金に利用できる融資制度について

「銀行は雨の日に傘を取り上げて、晴れの日に傘を貸す」という言葉があります。すなわち、会社の業績が良い時は銀行からの融資を受けやすくて、会社の業績が悪くなると融資を受けにくくなるという事です。よって企業の経営者や経理担当者としては資金がいざ必要になってから融資を申し込むのではなく業績が良くて融資を受けやすいときに借りておく必要があります。

本記事では借りられるうちに借りておいた方が良い運転資金について、おすすめの融資制度を紹介します。

【設立当初でも利用しやすい政府系金融機関による融資制度】

まず運転資金を調達する際におすすめの融資制度が政府系金融機関の融資制度です。設立間もない企業であったり、経営環境の変化によって事業から撤退しなければならない企業、災害にあって事業が立ち行かなくなったりした企業は一般の金融機関から融資を受ける事は困難です。これからの企業は信用力や返済能力が不安視されるので多くの民間の金融機関は融資に消極的になります。このような企業でも融資を受ける事ができるのが、政策金融公庫や商工中金の融資制度です。政府系金融機関には融資を受けにくい法人のセーフティーネットとしての融資制度があります。

例えば、政策金融公庫には新創業融資制度という融資制度があり、一定の条件を満たせば自己資金の9倍まで運転資金として最大1500万円を無担保・無保証人で融資してくれます。これは創業間もない企業に対する融資としては破格の条件だと言えます。

他にも経営環境変化対応資金や災害復旧資金など政府系金融機関の融資制度には一般の金融機関から融資を受ける事が困難な企業に対するセーフティーネットとしての融資制度が整備されています。銀行から融資を受けた事が無い、銀行から融資を断られたという企業は政府系金融機関の融資制度に自社の状況と合致した融資制度が無いのかを調べると良いでしょう。

【信用保証協会の信用保証付きの融資制度】

金融機関からプロパーの融資を受けるのは実は困難です。ある程度の事業規模とある程度の取引実績がなければ、金融機関からプロパーの融資を受ける事ができません。金融機関はプロパーではなく、信用保証協会付の融資なら融資できると言いますが、利用者にとっては信用保証の代金の分だけ資金調達コストが上がってしまうので、融資に信用保証協会をつけることに躊躇してしまいます。

しかし、信用保証協会付であったとしても融資が受けられるのであれば、受けてしまった方が良いでしょう。金利が安いので、信用保証協会のコストが上乗せされても他の資金調達手段よりもまだまだ割安ですし、冒頭で説明したとおり経営状況が悪くなれば融資を受ける事が困難になるので、融資を受けられるうちに受けておいた方が良いでしょう。

また、信用保証協会付でも融資と返済の実績を作る事によってそこからの交渉次第でプロパー融資が受けられる可能性があります。運転資金の融資を受けたいけれどもどこの銀行から借りれば良いのか分からないと言う人はとりあえず信用保証協会付で地域密着型の活動を行う信用金庫で融資を受ける事がベターであると考えられます。

【地方自治体が行っている制度融資についてもしっかりチェック】

政府系金融機関や信用保証協会を使った銀行融資というのは色々な企業が用いるオーソドックスな運転資金の調達方法ですが、以外と穴場になっているのが自治体の制度融資です。

制度融資とは地方自治体が地域の中小企業の資金調達を支援するために金融機関と連携して行っている融資サービスです。例えば、地方自治体が信用保証協会の保証料や銀行の金利の一部を負担して中小企業が融資を受けやすくします。制度融資は比較的融資を受けやすく、また創業時の融資としては日本政策金融公庫の融資よりも金利が低くなる可能性があります。さらに運転資金でも据え置き期間を設定できる場合があります。

地方自治体によって行っている制度融資のルールが違いますので、会社の所在地の地方自治体がどのような制度融資を行っているかを調べた方が良いでしょう。例えば東京都江東区はホームページによると、区内の中小企業が運転資金の融資を受ける場合について1250万円までの運転資金であれば通常利率1.9%のところ0.8%分の利子を区が負担して自己負担率1.1%で融資を受ける事ができるとされています。

また、地方自治体の制度融資を調べる際には同時に助成金や補助金に関する情報も一緒に調べておいた方が良いでしょう。

【融資制度があるからと言って融資を受けられるわけではない】

以上のように3パターンの運転資金の融資制度について説明してきました。一般の金融機関からプロパー融資を受けられない企業でも、このような融資制度を駆使すれば何らかの運転資金に関する融資は受けられると考えられます。

ただし、いくら融資制度があったとしても、事業として融資を受けて返済できるという説得力がなければ、結局の所融資を受ける事は出来ません。融資を受ける時には一般論として過去の決算書や事業計画を提出する必要があります。過去の決算書は変える事はできませんが、事業計画はきちんと経営者が計画に関われば関わるほど良いものができます。

税理士や資金調達コンサルタントに丸投げするのではなく、きちんと経営者が関わって説得力のある事業計画を作った方が良いでしょう。そして面談の際に事業計画について聞かれたときもきちんと自分の意見として事業計画を説明できるように内容について深く理解している必要があります。

また、融資を受けるのには時間がかかりますので、自社の資金繰りを把握した上で計画的に運転資金の調達を行う必要があります。上であげた3つの資金調達方法についていずれも最低申し込んでから入金されるまで1か月はかかると考えておいた方が良いでしょう。更に資料を準備する時間を考えれば資金を調達したい3か月から2か月前には資金調達に関する準備をすすめておいた方が良いでしょう。

【急に運転資金が足りなくなった場合の資金調達手法】

このように上であげた運転資金の調達方法は、一般の金融機関が融資を躊躇するような企業でも融資を受けられる反面、時間がかかります。ただし、企業によっては、半月後や1週間後には運転資金を調達しないと間に合わないというケースも考えられます。

このようなケースでは、政府金融機関、信用保証協会付融資、制度融資では入金が間に合いません。よって、ビジネスローンやファクタリングなどを用いて資金調達を行う必要があります。

ビジネスローンやファクタリングについて資金調達コストが高いというイメージがありますが、信用力の無い企業でもすぐに資金調達できるという利便性を考えれば決して、銀行融資よりも資金調達コストが高いので悪い資金調達手法だとは言えません。

【最後に】

以上のように、運転資金を調達するためにお勧めの融資制度について説明してきました。信用力の無い企業でも利用できるお勧めの融資制度としては、政府系金融機関、信用保証協会付融資、地方自治体の制度融資の3つが挙げられます。きちんと対策を行った上で、この3つの融資制度を使えば、運転資金について何らかの融資を受けられる可能性があると考えられます。

ただし、この3つの手法はいずれも準備から入金までに時間が必要となります。すぐに運転資金を調達したいという場合は、ビジネスローンやファクタリングを活用した方が良いでしょう。